空想の欠片たち
蝉の脱け殻、蝶の翅、蜂の巣、貝殻、種子の殻...。
この世の均衡が作り出した美しいカタチ。
それは命が費やした時間の結晶。
命の愛しさを私はガラス瓶に封じ込める。
金色の朝焼け、月の光、満天の星々、雪の結晶...。
決して手に取ることのできない美しい現象。
時間とともに留まること無く流れ去る、
この奇跡の愛しさを私の脳裏に刻み記録する。
有形無形の美しい欠片たちが引き起こす、
空想の連鎖反応。
ガラス瓶を飛び出して、
記憶の糸に紡ぎ合わされ、
空想の旅を綴る物語のひとこまに姿を変える。
描かれた物語の欠片。
長野 順子
銅版画家 長野順子による、ギャラリーHANAでの個展。