「グラスビーズを白の絵の具に混ぜてカンバスに装着していくと、外からの光を遮るように、ビーズは固く閉ざしていく。いっぽうカンバスを白く塗ったうえにビーズを置いていくと、そこは小さな光の集合体となって自由に輝きだすのだ。ひとつの平面に、対照的な白の物語が展開されている。
「作品と壁の境界を曖昧にしたい」ホワイトキューブと呼ばれる展示空間で出会ったイケザキカオリは、白を用いる理由をこのように語っていた。自分自身も作品のひとつであるかのようなたたずまいが印象的だ。
白のなかに、彩色を施す作品が点在する。白との呼応が美しい。イケザキの生み出す色は、多くの色を用いながらも決して濁ることがない。それは、彼女のまなざしに曇りがないことの証なのだろう。」
浦しげみ (さとうきび第11号 2018年1月 / 出版社名:スタルカ、より抜粋)