現在地方に住む僕にとって、生まれ育った東京の日々変わっていく景色は驚きに満ちています。それは子供の頃、夢中になって遊んだテレビゲームの、とにかく前へ前へと進み、後ろに戻ることのない横スクロールのようです。 現実も時間は前にしか進まず戻ることはない。けれど、海を泳いだり、雲の上を飛んだり、あらゆる寄り道をしながら、決して一方向ではない、ゴールのない円環のような世界のイメージを抱いていたいと思います。 最終日には、池間由布子さんを迎えてライブパフォーマンスをします。彼女の歌と僕の絵でどんな世界が作れるのか、そちらもお楽しみに。
青山 健一
朽ちていく人工的なもの、気づくと失われていくもの、また芽生えるもの、変転する街をも含めた、有象無象の大自然。作家のトレードマークともいえるガイコツやトリなどのポップな生き物は、デジタルな画面で、アナログな画面で、うつろう「風景」とともに描かれてきました。今回はそんな「風景」が動きます。鮮烈な野山を思わせるカラー作品と、かたちや線が際立つ、都市のようなモノクローム作品とがそれぞれ60点ずつ、すべて3号大。そして、ステッカーを使った“生き物”のピース28点。いっぺんに全部は展示されず、作家が会期中に架け替えてカラーからモノクロへ、徐々に変化していきます。音楽や芝居の仕事も数多い彼が手がけるインスタレーションには、映像作品も組み合わさります。それはなんというか、動く絵画の空間。絵画は購入時にステッカー作品が組み合わさります。実は、上下左右を特に決めてないそう。彼が見つけた風景の断片を、自由に飾ってみるのもいいかもしれません。
青山 健一 / Kenichi Aoyama
東京都出身、石川県金沢市在住。1995年、画家として活動をはじめる。ギャラリー、廃ビル、ライブハウス、劇場、屋外など様々な空間で作品を発表。絵画を軸にした表現手法は、即興パフォーマンス、イラストレーション、アニメーション、映像、舞台美術など多岐にわたる。97年よりジャズ・オーケストラ「渋さ知らズ」に美術、映像メンバーとして参加。2012年、絵本「あした、せかいが」 (文:三角みづ紀)を上梓。今年はWEBメディア「TOweb」 にて 「TOKYO実験画録」を連載中。
青山 健一 web: https://aoken.info
twitter : https://twitter.com/aoyamakenichi
横スクロール | クロージング・パフォーマンス
男の抽象、女の具象
青山 健一 [ video / drawing ] 池間 由布子[ vocal / guitar ]
2019年 7月15日(月・祝) 18:30頃開場 19:00スタート / 入場 2,000円(定員20名)
予約: mail / galleryhana2006@gmail.com ・tel / 03-6380-5687
展覧会の締めくくりの海の日に。大らかな弾き語りを軸に、ジャズやロック、演劇や絵画など様々な演奏家・パフォーマーとのコラボも行う池間由布子と、異様な瞬発力で渋さ知らズをはじめ音楽とともに描くことも数多い青山健一の二人の、きっと粋な生音パフォーマンスです。
池間 由布子 / Yuko Ikema
シンガー・ソングライター。2010年よりギターでの弾き語りを開始。13年ミニ・アルバム『エクスキューズ、ミイ』をテニスコーツが運営するmajikickレーベルから発表。15年『しゅあろあろ』、16年『明るい窓』を自主リリース。18年には京都の「山食音」の企画によるLP『野となり、山となる』をAt One With Field.よりリリース。